タイ料理と胡椒のお話
タイは、唐辛子で辛さを付けたお料理が多いのはご存じの通り。
けれど、胡椒で辛さに特長を出したり、
激辛にするのもよくあるレシピ。
実は、唐辛子は300年程前にタイへ入ってきた歴史の浅いスパイスで、
それまでは胡椒で辛さの特長をつけていました。
もともとタイでは、胡椒のことを「プリック」と呼んでいましたが、
唐辛子が入って来ると、唐辛子を「プリック」、
元からあった胡椒は、
後ろに国名をつけて「プリック・タイ」と呼んで
区別するようになったそうですが、
私たち日本人は、ちょっと混乱しそう…。
日本でも九州地方名産の「柚子胡椒」が唐辛子なのに
胡椒と呼ぶのが、それに近いかも。
タイでは、胡椒の使い方の大胆さに驚かされます。
日本の料理本では、
「胡椒…少々」なんて表現しますが、タイでは小さじ単位だったり、
ホールの胡椒を潰して、香りを立たせてから、たっぷりと使います。
白胡椒は魚などのあまりクセのないお料理、
黒胡椒は肉料理などと使い分けます。
日本で見かけることは少ない生の胡椒「プリックタイ・オーン」は、
見た目が緑でぶどうのように房に連なっているので、
お料理の添え物や、生の青臭さを生かし、
肉や野菜とハーブを一緒に炒めたお料理などに使われます。
タイの中でも南部は、最も辛い料理が食べられている地域です。
黒胡椒をたっぷり使い、唐辛子を効かせた「ゲーン・プリック」は、
驚くほど辛くて舌がしびれるカレー。
この辛さがたまらず、やみつきになるのですが、
辛さに慣れているタイの人でも、この辛さには、
「ペッローン!!」(辛くて熱い)と叫んでしまうのだとか。
胡椒と唐辛子がたっぷり入ったタイ南部の郷土料理のカレーです。辛さの口休めに、きゅうりなどの生野菜を添えて一緒にどうぞ。